TS-830は従来のTS-5××シリーズと比べるとより完成度の高いトランシーバーになっております。
内部ノイズの少なさは当時ではトップレベルです。
混信除去機能も今時のトランシーバーにも引けを取りません。
デジタルディスプレイがカウンタ式なのもこの機種までですし、受信がハムバンドだけというのもこのリグが最後です。
アナログVFOを使用しているのもこのリグまでですので、当然外付けVFOが存在するのもこのリグまでです。
局発は従来の機種はバンドごとに水晶発振を採用していましたがTS-830はPLL回路でそれぞれのバンドの周波数を作り出しています。
このようなことから当時としては究極のトランシーバーと言っても良いと思います。
これ以後の機種は方向そのものを変えて、トランジスターフアイナル、ゼネカバ受信機、デジタルVFOという方向に進んでいます。
TS-930、TS-430がこのリグの後継機種に当たりますが、TS-830との共通点はあまりありません。
アナログ方式を極めたトランシーバーと言えると思います。
各種混信除去をはじめ充分な付属回路を搭載しており、マーカーも標準装備していることも維持調整には大変有効です。