アイコムのIC-120は国産初のマイコン制御のPLLを搭載した1200MHz帯トランシーバーです。
1983年にアイコムから発売になり定価は89,800円でした。
翌年にトリオがTR-50を発売しました。
1200MHz帯のトランシーバーとしてはメジャーではありませんが、すでに1978年に三協特殊無線からKF-1200が出ております。
定価はIC-120とほとんど変わらず89,500円でした。
詳細はわかりませんが、水晶発振式のトランシーバーと思います。
アイコムの IC-120は1200MHz帯のトランシーバーとしては国産初のマイコン制御のPLLを搭載して、1260MHzから1300MHzまでの40MHzをフルカバーし、レピーターにも対応しています。
当時私はマイクロウェーブに熱中しており、1200MHzのトランスバーターを作っておりました。
トランシーバーはとても自作できませんので、IC-120は発売になって間もなく購入しました。
アイコムの無線機を購入したのは1968年に発売になったFDAM-3以来久しぶりです。
IC-120は今でも時々レピーターで使っておりますが十分実用になります。
終段のトランジスターはパーソナル無線用に開発された三菱電機の2SC2392でドライバー段がNECの2SC2558を使用しています。
2SC2558は安価に入手できましたので、トランスバーターでもよく使っておりました。
この頃は日本のメーカーも各社が無線機用の半導体を製造しておりました。
終段の2SC2392は意外にもベース接地で使用しています。
データシートを見ると推奨回路はやはりベース接地でした。
ベース接地回路は高周波特性が優れております。
今や終段はすべてモジュールになっており、隔世の感があります。
他のパーツ類もチップ部品ではなく、一回り大きなパーツを使用しています。
IC-120はアンテナ切り替えスィツチにモジュールを使用しています。
この辺がさすがにメーカーです。
まだこの頃はアマチュアには簡単にはアンテナ切り替えスィツチ用モジュールは手に入りませんので、自作のトランスバーターには高価な同軸リレーを使っておりました。
また3つのVCOを使用して40MHzをフルカバーはとても手が出ません。
レピーターの10Wから1Wへの減力や相次ぐメーカーの1200MHzからの撤退と寂しい限りの1200MHz帯ですが、マイクロウェーブの愛好家にとっては1200MHzの無線機はトランスバーターの親機としては貴重です。
私の知る限りでは現在販売されている1200MHz帯の無線機はアルインコのトリプルバンダー144/430/1200MHz FM トランシーバーDJ-G7と固定機のケンウッドTS-2000、アイコムIC-9100しかないようです。